どぶ川河口から漕ぎ出して
少し沖合に カッターを泊めたら
何度も何度も海へ飛び込む。
飛び込めば海は
確実な圧力と感触で
押し戻してくるのだ。
ぜりーとも 水とも解らないような堅さで
海は触れれば
塊を崩して応える。
最も深い所から
ゆっくり水面を目指したら
少しずつ明るくなる。 海面は 不思議に揺れる板みたいで
吐く息の泡を吸収しては
歪んで光の色を変える。
その板の不思議がみていたいのに
身体はどんどん浮き上がって。
息も続かなくなって。
疲れ果てて 海面に浮かんで
空をみていた。
じぶんがみているのは
宇宙なのか 海の深みなのか
解らなくなって眠りそうになる。
すると仲間が オールでつついてくるので
全力出して カッターに よじ上ぼる。
暫く船上当番したら
また 飛び込む。
そんな 夏 海 週末。
10代だったなぁ。
狼 も NANANA サマーガールも なかったなぁ。
だけど ものすごく思い出す。繰り返し飛び込んだ海のこと。
服きて 硬い靴履いて
見上げた空だけど
海へ飛び込んでゆく瞬間に見える空と
同じだった。今日。