その人の短歌は
毎週のように選歌されて新聞に載っていた。
住所がヨーロッパで
小学生だったsimaの目にも止まったのだ。
鍵っ子だったので
一人で夕食を食べるのに
行儀は悪いが その日の新聞を広げて
載っているマンガを読んだりしながら食べていた。
ある日 家庭欄のエッセイ投書コーナーに
彼女の投書が載っていて
とても驚いた。
彼女はsimaがその頃住んで居た島の出身でした。
「私は今 ヨーロッパで出会った人と温かな家庭で幸せにクリスマスを過ごしている。
ツリーにオーナメントを飾るとき
いつも思い出すのは
島で母が オーナメントをつくる内職をして
私を育ててくれた事だ。
当時の自分達の暮らしには無縁の
きらびやかで豪奢な素材に
どんなにか 豊かな暮らしを夢をみたことだろう。
荒れて大きな手が
細かな細工を時間を掛けて作り上げてゆくのを
見ながら傍で眠りに就いた。
あのころの幸せは
荒れた大きな手が象徴している。
この部屋で今輝くツリーは
あの荒れた大きな手が
育んでくれたと思って眺めている。」
といった内容だったと思う。
成人後にsimaが知り合った方々の御宅では
代々の家族の手造りのオーナメントも
多く拝見した。
今 simaが持っているオーナメントは
知人からの手製のものであったり
戴いたものだったり。
買ったものだったり。
どの小さなオーナメントにも
つくった人が居て
その人の人生が籠っていると思う。
そして
飾り始めた年からの
自分の人生も。
ツリーに仕立てなくても
いろんな思い出が籠ったオーナメントを
出来るだけ毎年 出して飾りたくなります。
G氏から 神戸の銘店 フロインドリーブのシュトーレンをいただきました。ありがとうございました。