小学校の裏門を抜けて小径を駆け上がると
まもなく 穏やかな湾が見える。
丘の上は八幡様のお社で 普段は人気が無い。
よくH.R.等を抜け出し遊びに行った。
崖の下は狭い岩場で すぐ近くはもう
貨物専用の小さな港になっている。
船首に女神像を掲げ横文字の名前も麗しい小型貨物船が
眼下へ航行してくる。
一日の何時の時間でも
丘へ登って見飽きる事は無かった。
残念ながら泳ぎに入るには適切ではなく
学校には 清潔で真新しいプールがあって
泳ぐといえば プールだった。
夏休みは朝から夕方まで泳ぎ放題だったから、
食事などをのぞいては 日中ずっとプールで
限りなく25メートルを往復する。
プール底で友人と取っ組み合いをしたり
ターン技の開発? 飛び込みポーズを競う、
というのもあった。
あの年頃 監視員さんも居ないプールで
思い切り 好き放題出来た事は 幸せだと思う。
おかげで私は中学に上がる時
遠泳だけは自信があり、
海の色が読める事
飛び込みに失敗して欠けた前歯を勲章にして
新しい友人達に意気揚々と入って行こうとした。
プールに浮かんで水面下から空をみあげると
柔らかで明るい水色が揺れる。