台風は この辺りから遥か遠い所で猛威を振るっている
このあたりは 強い風が秋の湿ったにおいをさせて
曇ったり くっきり晴れ渡ったりを 繰り返す一日だった
あの頃 ディープパープル レッドツェッペリン エルトンジョンなんかに夢中だった頃
私も 本気で弓削商船高専へ進学したいと思っていた。
弓削商船高専へ進学出来れば それは短大卒業をも意味し、
船舶関係への就職は 島出身者としては エリートコースを 確約される。
その他に
宅間電波高専も船舶関係への就職に有利だったが
当時は無線専門職として地上勤務への エリートコースといわれていた。
勿論 神戸商船大学(今の神戸大学)という殿堂もあるけれど
島の高校からは超難関、結局島外の高校へ進学するべきになる
音楽以外の時間は全て海で頭が一杯だったので
単純に 中卒後の進路も 海関係へ と 思っていた。
たぶん 高専に 女子寮が無かったのだったか(当時)
そうでなくても はっきり担任の先生に言われた事は
乗船職種は 神戸商船大出でも 女子の求人は少ない、
という事だった。
資格を得るまでは そこそこ女子の人口もあるが
求人は 恐ろしく少ない時代でした。
弓削高専への進学は 受験以前の問題であきらめた。
海の先輩は 毎年一人か二人進学して行ったので
自分が行けないと解ると 残念で。
結局 同級生の海仲間かつ音楽仲間の人が
島外の高校を希望したことから
私も島を出る決心をした。
合法的家出だ。
送金付き合法的手段
高校にいる間に
商船大学へ行く夢も捨ててしまった。
音楽も殆ど聴かなくなったし
すっかり別の事に夢中になった。
島では 本当に風が強くて
向かい風では 息も詰まりそうになる
俯いて 目を閉じて 微笑む様な表情で
薄く開けた口から呼吸する
向かい風へ肩を突き出し
睨む様な目つきで前を見ていた
心もそんな目つきをしていたのだ
吹き付ける風が強くて 昨夜も今朝も
移り変わりの激しい陽光を感じながら
揺れる樹の下を歩いていた。
激しく揺れたのち
穏やかに陽光を透かして漏れる木漏れ陽は
Tamaの見せる微笑みたいだ
海に生きたいとは思っていなかったのかもしれないけど
超エリートコースを捨てて音楽を採らずにいられなかった
Tamaのこころも 吹きつける風のなかを 歩いていたのかなとおもった
あたらしいTamaの活動がとてもたのしみです
わたしにとっては Tamaは 海を望む丘で
木漏れ陽を受けて 一人そらを見上げる人だ
河川敷サッカー場の芝生は 初老の方が何年も芝刈りを続けて丹精されたものです。